エンジニア向けバックアップの方法

ここではエンジニア向けのバックアップについて書いてみます。
いろいろなバックアップの仕組みや管理の方法があります。
企業規模やIT規模、装置などによってケース・バイ・ケースなので、ここでは、ネットワークの規模に応じて簡単に説明します。

【バックアップは想像力と復元時間が問われる】

もし・・・
・NASが壊れたら?
・バックアップデータが壊れてたら?
・サーバーが物理クラッシュしたら?
など、予め想定、計算しなければいけません。

そして、最も重要なのが復元時間(ダウンタイム)です。
意外とここがおろそかにされたバックアップ構成をよくみかけますが、実際のシステムダウン、クラッシュにおいて、現場で求められるのは「いつ復旧するの?」です。
復元時間は、バックアップ構成によって大きく変わります。

【小規模の構成例】

小規模ネットワークで一番重要なのは、復旧時間です。業務への復旧時間が短い事を最優先にします。
この構成では、バックアップデータは実に4か所に配置されます。さすがに全バックアップデータが飛ぶことはないでしょう。落雷以外はw (落雷も想定して、雷サージを武装してもよいですし、予備機はあえてコールドスタンバイをとるのも作戦です)

[なぜ、予備機が必要か?]
サーバーが物理クラッシュした時に、業務が止まらないためです。もちろん予備機はサーバー1号機と全く同じマシンが必須です。

[なぜ、Dドライブ?]
わかりやすくWindows表記にしましたが、Linuxは脳内変換してください。
Dドライブをあえて持ちます。そこにバックアップデータを配置します。
なぜかというと、OSが論理クラッシュした際に、復旧時間が短くて済むからです。
サーバースペックとバックアップデータの大きさによりますが、60GBのバックアップデータなら20分かからないくらいで復旧です。

[なぜ、RAID0?]
後述しますが、RAID5や6は、バックアップ機構ではありません。RAID5,6を選択した場合は、必ずNASは2機必要ですが、高額になりすぎてしまい、予算が合わなくなります。また、RAID0でスピード的に容認できるのが実際です。RAID0では、2つのHDDにデータ書き込みがされますので、片方が物理クラッシュしてももう片方にデータが残ります。

[バックアップの世代管理]
毎日フルバックアップがお勧めです。
増分・・・全バックアップデータが無いと復元できない。復元時間が長。
差分・・・マスターバックアップと、差分の両方が必要。復元時間が中。
フルバックアップ・・・欲しい世代のデータだけでよい。復元時間が短。
小規模なので、フルバックアップでもディスク容量が足ります。

【中規模の構成例】

中規模の場合の重要点は、適度な予算性だと思います。

[なぜ、NASは2機?]
RAID5,6は、バックアップの仕組みではありません。これは、データ読み書きの構成です。RAID5,6は速度ははやいのですが、物理クラッシュした時に恐ろしい事が発生する可能性があります。
RAIDコントローラーによりますが、RAIDコントローラーの中にシリアルキーがあり、このシリアルキーがユニークでそのキーがないとHDDのデータが読み取れないというタイプがあります。
つまり、RAID5,6は内在的にRAIDコントローラー、内臓HDDの両方の物理クラッシュを想定しなければなりません。
従って、片方のNASのRAIDコントローラーがクラッシュした場合を想定し、NASは2機必要です。

[バックアップ管理機]
場合によっては不要ですが、サーバー機が5台以上になるとあった方が便利です。このあたりは、予算とご相談です。

[バックアップの世代管理]
中規模は意見がわかれるところ。
差分もしくはフルバックアップになると思いますが、このあたりはバックアップ容量と購入するNASやサーバーのディスク容量による予算とご相談です。

【大規模の構成例】

こちらの場合での優先度は、予備の予備、そしてスピードではないでしょうか?

大規模ということは、データ容量が大きい可能性が大で、それはつまりのところ、各機器への負担が大きい事を表します。物理クラッシュのリスクが非常に高まります。実際、昔担当したところでもメモリが発火するという事件もありました。
基本的には、「形あるもの壊れる」の概念で予備の予備を揃えておくべきだと思います。

[バックアップの世代管理]
意見がわかれるところ。
増分、差分、フルバックアップの3つを、サーバーやNASの要領や堅牢性に合わせて使い分けが必要です。
増分は気を付けたいのが、バックアップ時間は一番短く済みますので、各機器への負担は少ないのですが、マスターバックアップから復元したい日にちまでの全増分データをもっていないと復元が出来ないという、リスクがあります。

【基本知識】

エンジニアの方でも勘違いしている方もいるので、書きます。
・RAID構成
 RAIDはバックアップではありません。RAIDはハードディスクやSSDに対しての、データ読み書きの構成です。
従って、RAID構成組んでるから=バックアップ なんて間違った解釈です。
唯一、RAID構成でバックアップなものはRAID0です。それ以外は、全くもってバックアップではありません。
RAID0は、2つのハードディスクに同時に書き込む仕組みです。そのため、1つのハードディスクが壊れてももう1つにはデータが保存されていますから、ある意味バックアップです。
RAID5,6などは、便宜的に簡略化して書きますが、複数のハードディスクにデータの一部を分散して書き込む仕組みです。つまり、その複数のハードディスクが存在しなければデータが復旧できません。
さらに、RAID5,6などはRAIDカードにユニーク化されたシリアルなどがあって、モノによっては同じ型番でもRAIDカードを差し替えれば動作しないものもあります。

・差分バックアップ
 差分バックアップは、マスターのバックアップの差(増減両方)をとります。
 メリット:バックアップ容量サイズは中レベル
 デメリット:復元時間は中~長。マスターバックアップとセットで必要。

・増分バックアップ
 増分バックアップは、前回のバックアップから増えた分だけとります。
 メリット:バックアップ容量サイズは小レベル
 デメリット:復元時間は長。マスターバックアップ、それまでの全増分データが必要。

・フルバックアップ
 そのまま、まるごと毎回バックアップです。
 メリット:復元時間は短。その日のバックアップだけが

【バックアップでこれは実施しましょう!】

1.復元テスト
 論理クラッシュ時の復元時間、物理クラッシュ時の復元時間を必ず試しましょう。

2.試験レポートを作成
 経営者やIT担当の方には、必ず復元の試験レポートを見てもらい、
・論理クラッシュ時の復元時間
・物理クラッシュ時の復元時間
・その他潜在するリスク
を、認識してもらいます。
実際に起こった時に、業務がどのくらい停止するのかを理解していただく必要が絶対にあり、承認の必要があります。
仮に承認できないとなれば、機器の購入をしていただく必要となり予備の予備を揃える事になります。

3.復元手順書作成
 サーバーとシステム管理者の両方に物理クラッシュという不運な事態を想定し、少しPC操作できそうな人でも手順書通りで復元できるようにしておきます。

以上です。
個人事業主の方でも必ずバックアップをとられてください。
バックアップソフトも5000円前後で購入でき、1回買えばよい保険と思えば安いのではないでしょうか?

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