マイナンバーは45年後以降にやっと意味が出る

もし、政府がマイナンバーを45年後のための先行投資として、税金使ったのなら意味がありますが、これから書くことを理解せずあるいは、コンサルから言われたけど無視してたら、私たちの税金は無駄でした 笑。
マイナンバーが45年後に意味がでる(期待を込めて)理由を、システムエンジニアの立場から書きます。

【マイナンバーで、一元管理!(の予定)】

年金番号、国保番号、所得税などの税金、法人番号・・・いろいろな税金が、マイナンバーで1つで管理(一元管理)できるのが、スゴイ! なんて、宣伝されてましたが、それは45年後に可能なのです。(たぶん)
現時点ではほぼ不可能。(あるなら、知りたいです)
これは、これら年金番号、国保、所得税・・云々を管理するシステム構築の根幹部分と関わる問題なのです。

【シュミレーションしてみよう】

シュミレーションします。
マイナンバー以降の2016年に生まれたAちゃん。
この子の年金番号、国保、住民票なりいろいろなものはマイナンバーで管理できます。めでたしめでたしです。この子に、私が持っているような年金番号、国保やその他の番号を付与する必要はありません。

1950年生まれのBさん。もうすぐ60歳です。この方にも、マイナンバーが付与されました。めでたしめでたし???いえいえ、そんなことはない。
Bさんについて政府・行政は、マイナンバーの1つで年金や国保、税金を管理はできないのです。
なぜなら、マイナンバー以前の年金や税金をどうやって管理すればよいでしょうか?

「え?そんなの簡単じゃん、年金番号をマイナンバーで上書きすればいいだけでしょ?」
残念!そんなことをして困るのはむしろ行政。
結論からいくと、「年金番号とマイナンバーの両方を政府は保持する必要があり、さらにその2つをひも付する管理が必要になります。」

【なぜ、年金番号とマイナンバーの両方を保持しないといけないの?】

理由は2つ。
1つ目は、Bさんがマイナンバーをなくして年金番号で年金事務所に問い合わせが来たらどうしますか?さらに、年金事務所もBさんの年金番号をある日突然破棄して、マイナンバーに入替えして追えますか?
2つ目は、年金番号とマイナンバーはそのIDの特性上、別に設計されているはずだからです。(これは、システムエンジニアとして予想ですが)。
どういうことかというと、システム設計においてこういった年金番号やマイナンバー、国保の番号でも免許書番号でも、やみくもにてきとーに数字を割当したりは絶対にしません。こういった、一意になるべきIDたちは、論理的に数字・アルファベット・記号と桁数を考えて作り出されます。

”余談・一意になるべきIDの設計方法”
例えば、楽天市場やアマゾンなどで皆さんが買い物された時に発行される「注文番号」。
これは、てきとーではありません。この「注文番号」は次の論理性を持ってシステムが割り振るようになっています。
 ・全てのご注文と同じになることは未来永劫ないこと
 ・全ての出店されたショップでも同じになることは未来永劫ないこと
 ・桁数が不足しないようにすること、あるいは後程増徴できること
 ・後程増徴しても、同じ注文番号は作らないこと
 ・1ミリ秒での同じ注文でも同じ番号にならないこと
 ・ハッカーが注文番号を憶測して不正アクセスできない、もしくはその解析に時間がかかること
などです。意外とこんなこと考えて、注文番号って設計されます。

つまり、Bさんにとっても年金事務所にとっても、古い年金番号はBさんの年金支給についての情報を破棄してよい時期まで保管しなければならない宿命があるのです。

【実際には45年どころか、70年以上先かも】

この45年の数字の根拠はとても簡単です。
マインナンバー開始の2015年の一年前に20歳になった方は、まだ年金番号です。
この人たちを「最後の年金番号組」と便宜的に呼びます。
最後の年金番号組が年金をもらえるのは、今のところ65歳である45年後だからです。
実際には、最後の年金番号組が年金をもらい始めても、古い年金番号は存在し続けるでしょう。
なので、最後の年金番号組が全員死亡、あるいは年金支給不要になって尚且つ、年金番号不要になったらマイナンバーだけで我々は過ごすことになります。
これはあくまで、年金番号だけの話。国保、住民番号、税金など、どうでしょうか?
最長でどのくらいまで保管義務が政府にあるのでしょうか?そのぶん、マイナンバーの意味は先送りになります。
ということで、マイナンバーが活躍するころには、私は死んでます 笑。費用対効果を見ることはないですね 笑。

”余談・年金番号、国保、住民番号、税金管理の仕組み”
私は、行政関係のシステムは携わったことは一度もありません。なのに書きます。
知ったかぶりではなく、データベースを設計する人ならみんなわかるんじゃないですかね?
年金、国保、住民番号、税金、それぞれ別々のシステムで、マスターデータベースが存在してるはずです。そして、国民マスターみたいなものがあって、そこに「Aさんの年金番号:12345」とあるわけです。そして、住所も電話番号もあります。住所データベースがあるでしょう。とこが、この住所データベースは、地方自治体に登録されている住所データベースとは別に管理されています。
これが、国保、税金、年金全てばらばらに管理されていたのです。
なので、Aさんが住所変更があった場合などは、各行政は大慌てですね。時にロストしています。
これが今回、マイナンバーに至る理由の1つです。
一見、マイナンバー1つで管理ができるようになりそうですが、実運用と現システムとの平衡稼働を考えると、単に管理番号が1つ増えただけにすぎないのが現状。